✳️思春期とは？

　　思春期とは、子どもが徐々に大人の体に変化していく過程のことです。女の子は10歳頃から、男の子は12歳頃から二次性徴と呼ばれる体の変化が起き、数年かけて大人の体になります。思春期早発症では早期に大人の体になってしまうために、一時的には身長が伸びたとしてもそれ以上に成長することができず、大人になった時には低身長となってしまいます。

✳️思春期早発症の診断

　　　典型的には2-3年以上早い思春期徴候（男児なら精巣発育、陰毛発生、腋毛、ひげや声変わり、女児なら乳房発育、陰毛発生、月経）が2つ以上存在する、あるいは早期の思春期徴候が1つの場合でも、年齢不相応な身長の著しい伸び、あるいは骨成熟の明らかな進みなどがあることで診断します。

✳️思春期早発症の治療

①成長ホルモン剤

　　　骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長に適応されます。アルギニン負荷試験で成長ホルモン分泌を確認することができます。成長ホルモンの投与により成長速度を上げて成長曲線の縦軸の成長を促します。

　　　A）ソマトロピン　毎日投与（体重換算）

　　　B）ソグルーヤ　週1回投与（体重換算）

　【成長ホルモン剤開始の判断基準】 

・骨年齢が男子13歳まで、女子11歳まで（最終男子17歳まで、女子15歳まで）

・骨端線が閉じていない

　　副作用：浮腫、成長痛、頭痛、不眠、手の痺れ

②リュープリン

　LH-RHアナログ（リュープリン）を月に1回皮下注射します。性ホルモンの産生を抑制することにより思春期の進行をゆっくりにしていき、骨端線の閉鎖を遅らせて身長が伸びることのできる期間を長くしていきます。男児12歳前後まで、女児11歳前後まで最低1年、長くて２～３年続ける場合もあります。（成長曲線の横軸を延長するには時間が必要）

　【リュープリン開始の判断基準】 

・骨年齢が男子12歳まで、女子10歳まで

・すでに二次性徴が始まっていること（乳房発育、精巣肥大など）

・骨年齢の進行が早い

・骨端線が閉じていない

モニタリング：

　　・1～2ヶ月に1回採血を行いLH、FSH、エストロゲン等の抑制を確認

　　・６～12ヶ月ごとに骨年齢測定

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リュープリン　1880μg1本　¥66,000　　3750μg1本　¥99,000

例）40kgの場合

1ヶ月目　40kg×30μg＝1200μg  （1880μg1本）¥66,000

2ヶ月目　40kg×60μg＝2400μg  （3750μg1本）¥99,000

3ヶ月目　40kg×90μg＝3600μg  （3750μg1本）¥99,000

4か月目　40kg×120μg＝4800μg  （1880μg1本+3750μg1本）¥165,000

5ヶ月目　40kg×150μg＝6000μg  （3750μg2本）¥198,000

6ヶ月目以降　40kg×180μg＝7200μg  （3750μg2本）¥198,000

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⚠️注意

　　　単独では成長速度が少し低下するため、成長ホルモンとの併用が有効とされています。

副作用：

　　　間質性肺炎（0.1％未満）、アナフィラキシー（0.1％未満）、肝機能障害、糖尿病、下垂体卒中、血栓塞栓症（頻度不明）

③プリモボラン

　　　プリモボランは骨へ直接的な成長刺激を与え、成長ホルモンの感受性を高めます。プリモボランは穏やかに男性ホルモン受容体に結合し、男性ホルモンに似たような作用により緩やかに思春期を進め骨端線を閉じにくくします。（従来の男性ホルモンでは思春期を早め、骨端線を早く閉じやすい）

　　　プリモボランは成長曲線の縦軸（伸び率）を上乗せ可能なため単剤でも使用可能です。リュープリンは横軸（時間軸）を延長させますが縦軸（伸び率）は少しマイナス方向に動くため成長ホルモンとの併用が必要です。

　　　プリモボランは骨年齢が男子14歳まで、女子12歳（女子は慎重投与）までに開始するのが望ましいです。1～3ヶ月に1回LH・FSH・テストステロン等の抑制を採血で確認し、６ヶ月～1年ごとに骨年齢を測定します。

　　　副作用：声変わり、多毛、ニキビ、陰茎肥大、精子減少、足背浮腫  　

費用：１００錠　11,000円（税込）

体重

20～25kg 1錠

26～30kg 1～2錠

31～40kg 2錠

41～50kg 2～3錠

51kg以上 3～4錠